アクターズワークショップのこと

 今年のアクターズワークショップの生徒は、八期生になる。最初は年間で、2、3回だった私の授業も年を追うごとに増えて、今では10回ほどになっている。はじめの頃には、何をどう授業したものやら分からず、随分背伸びしたこともやっていたが、自分は生徒たちと歳も近いし、私自身演劇に対して興味を持っているところ、悩んでいるところも含めて一緒に考えてみるというスタンスに変化してきた。知識も経験もそれほどないのに、教えるなんておこがましい。
 そんな授業のやり方でも、次第に洗練されてくるところもあり、カードを使った即興劇作り、実際に起きた事件記事を題材にした芝居作り、そして戯曲を書いてみる、という大きく三つの授業内容が形作られてきた。授業内容については、今後も試行錯誤を重ねながら、新しいことにも挑戦してみたいし、ねらいも絞られてきたりと変化していくだろう。
 ただ、この八年間で気づいたのは、'場'を作ることの大切さだ。アクターズワークショップには、役者たちの作業場というサブタイトルがつけられている。生徒たちが、集中し、互いに信頼し、ぶつかり合う'場'さえ作られれば、そこで発見があり、学ぶことが出来る。それを作る手助けをすることが私の最も大切な役割だ。それは、遅刻しないこと、体調管理をすること、連絡もなしに休まないことなどから、他の生徒たちの表現に興味を持つことを丁寧に伝えていくことでしかない。一年という短い間に奇跡的に俳優が誕生するわけではない。俳優はこの後も、一作一作'場'を積み重ねていくしかないのだ。そのための始まりの'作業場' を体験してもらうこと、それが私の考えるアクターズワークショップである。

黒テント芸術監督 坂口瑞穂

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